植物の未来 2
その頃すでに、それがみられるのはこの約4ヘクタールの保護区のなかだけになっていました。
花を間近にみたときに私が強く心惹かれたのは、サクラソウの花の色や形にみられる大きなバリエーション、すなわち変異だったのです。
・・・それはまるで、人が長年品種改良を加えてつくり出した品種の数々であるかのようでもありました。
微妙な違いが集まり、自生地全体としてはきわめて大きな変異がみられます。
色一つとっても、白色に近い淡色のものから深紅に近いものまで、また、紫がかったものから青味の全く感じられないものまで、ピンクでも華やかな色合いのものから抑制された灰色味のあるものまで・・・
さまざまで、それが自生地全体の風景にも微妙な色彩や色調の変化をつくり出しました。
色彩や色の濃淡だけではありません。
花冠の全体の形や細部の変異も含めて、サクラソウの花のバリエーションは非常に大きいものです。
花びら(花冠の裂片)の形にしても、細くて花びらと花びらの間に隙間のあるもの、幅広くて互いに重なり合っているものまでさまざまです。
よく目を凝らせば、部分部分の形も微妙に違います。
・・・また、個々の花だけでなく、花をつけている茎の長さやバランスの違いに応じて、花序(花の集まり)の形にも変化が大きいのです。
それから、何といっても目の表情の豊かさですね。