叙情詩と心理学 3
第二部では、成人し、竜を退治したことから竜王とよばれるようになった英雄ゲドが、名なき者である暗黒の迷宮にしのびこみ、二つに割られた腕環の残りの半分を奪い返す話です。
迷宮の神秘を知り、その暗黒の世界に捧げられて自分を失った巫女の少女を助けだします。
彼女こそ、無意識の領域に埋もれているといわれるゲド自身の光輝く魂であり、両性具有的な人間の心の、二つに割られた半身です。
こうしてゲドは、争いの絶えなかったアースシーの世界に、光明をもたらして平和を築きあげるのです。
そして第三部は、すでに老境に達したゲドの平穏な生活の中に、魔法の力の弱まりと死の恐怖が迫ってきます。
不死を願うある魔法使いによって、彼岸との境が破られ、そこから世界に災いが広がりだすのです。
ゲドは自分の後継者ともいえる若い王子を伴って、死の国に赴き、死があってこそ、また生もあることを身をもって知ります。
そして生と死の境に作られた割目を閉じることで、世界に再び秩序をとり戻すのです。
こうしてアースシーとよばれるこの世界は若い王子を王としていただく統合された国として再生します。